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高次脳機能障害における労働能力喪失率

労働能力喪失率は、通常、自賠責において認定された後遺障害等級をもとに、労働能力喪失率表を参考として決定されることが多い。

ところが、高次脳機能障害の場合は、外部から障害の有無・程度が認識し難いため、たとえ自賠責において後遺障害等級認定を受けていても、等級評価の妥当性及び労働能力喪失率について、訴訟で争われることが多い点に特徴がある。そこで、本章では、裁判例の検討を通じて、裁判所がどのような事情を考慮して労働能力喪失率を認定しているのかについて検討することとする。

高次脳機能障害の等級認定の考え方と労働能力喪失率は次に示すとおりである。


障害認定基準 補足的な考え方 喪失率
別表第1
1級1号
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」
 「身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身のの回り動作に全面的介護を要するもの」 100%
別表第1
2級1号
 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの」  「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」 100%
別表第2
3級3号
「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」  「自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。 しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人間関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」  100%
別表第2
5級2号
 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」  「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」 79%
別表第2
7級4号
「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外に労務に服することができないもの」 「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」 56%
別表第2
9級10号
 「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」 「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業維持力などに問題があるもの」 35%

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